「自殺防止」シンポジウムのお手伝い
こんばんは、心理カウンセラー・サイコセラピストのひとみーなです。
久しぶりにゆっくりした日曜日を過ごしています。先週は若干ハードなスケジュールで疲弊していたので、たっぷり睡眠を取り、午後はゆっくりと事務仕事を終わらせて(結局、仕事してたのですが・・・苦笑)。
さて、昨日は、私がコミッティ・メンバーとして参加しているNuLife Care & Counselling Services 主催のシンポジウム『Suicide Awareness & Prevention Symposium 2018』のスタッフとして、終日お手伝いをしてきました。
Samaritans of Singapore (SOS)という、メンタルヘルスケアの慈善団体との共同開催でした。SOSは、シンガポールで、24時間の緊急電話ホットラインを開設してます。
シンポジウム は、午前は一般の方向け、午後はメンタルヘルス専門家向け、延べ350人の参加者を数え、午後は特にSOS、精神科医、NuLife のカウンセラーと、自殺経験者の方のパネルディスカッションもあり、結構現実的な話を伺いました。
非常に残念な話で、信じられない、信じたくないことではありますが、ここシンガポールでも、近年日本人の自殺者が数人いたという話を、ローカルのカウンセラーから聞いています。
自殺する前に、誰かに相談することができなかったのでしょうか。自殺が、彼ら彼女らの辛い状況を脱する最終手段だったのでしょうか。
シンポジウムでも話されてましたが、自殺志願者は、必ずその兆候が見えます。微妙なSOSを出しています。いつも明るく振舞っている人でも、「あれ?」と感じる言動を見せていることが多いです。
もしその「あれ?」を身近な人に感じたら、どうぞ話を聞いてあげてください。決して持論を押し付けず、話を聞いてあげてください。
もし心の闇が深いと感じたなら、プロのカウンセリングを受けることをお勧めしてください。
心が軽くなる糸口は、必ずあります。
今回、嬉しかったのは、私の元クライアントがシンポジウムに参加してくれたこと。
彼女は、昨年2回、自殺未遂を起こしました。その原因は、金銭問題、恋愛問題、子供の養育問題と、複雑に絡まりあっていました。数カ月に渡るカウンセリングの末、彼女は自分が何をしたいか、その優先順位をつけることができ、暗闇のどん底から自ら抜け出す行動を起こすことができ、そこでカウンセリングは終了。
しばらくぶりに元気な顔を見られて、本当に嬉しかったです(因みに彼女はインド系ローカル)。
皆様も、気持ち穏やかに、楽しくまた1週間を過ごしていただけるよう。何かあったら、すぐ身近の人(またはカウンセラー)に相談してくださいね。
素敵な夜をお過ごしください。
ひとみーな
追記:
余談ではありますが・・・
シンガポールは人口数百万人の小さな国で、中華系、マレー系、インド系、その他の人々で構成されています。自殺率が一番高いのが中華系で70%以上。人口比率からして、納得の結果。次に人口が多いのはマレー系ですが、何故か自殺率はインド系の方が上です。マレー系の自殺の少ない理由として、マレー系家族・親戚は比較的近くに住み、常に精神的に密な関係を築いており、何かあったら相談できること、宗教(イスラム教)で自殺を禁じていることがあげられますが、宗教で禁じていて自殺は「恥」となるため、自殺を隠蔽することもあるようです。
自殺の原因としては、中高年は経済的問題(失業等)、そして若年層では、家族問題、恋愛問題、そして学業ストレスとなります。
自殺の方法は、飛び降り(高層住居、電車)、首吊り、がメインです。電車のドアの前付近の駅のホーム自体にドアができているのも、その飛び込み防止策の一つ。
ご存知かもしれませんが、シンガポールでは、「自殺」は刑法犯罪です。
自殺が失敗して生き残ったら、警察に逮捕され、刑務所行きです(!)
実際には、初犯の場合は、警察で十分にお仕置きされて釈放されますが。
私たちメンタル・ヘルスケア従事者には、警察への通報義務があります。
自殺者が担ぎ込まれた病院の医師は、警察に通報しなければなりませんし、
精神科医、カウンセラーも、クライアントの自殺の意思が強く認められた場合は、通報する義務があります。
カウンセラーにはクライアントとの守秘義務がありますが、こういったケースの場合は、刑法上の報告義務が優先されます。カウンセラー協会の倫理規程にもそのように明記されています。クライアントの尊い命を守るためでもあります。
人それぞれ違った人生の旅路。困難はつきものです。是非、その困難を打開する、解決する、その勇気を持っていただきたく、そのお手伝いをさせていただきたく思っています。